かはんの制服はアメリカのデッドストックの医療用コートをもとに、神戸にあるセレクトショップbotaの滝口さんへお願いしました。
やわらかく、品が感じられるもの、私たちが目指していたものははじめから明確だったように思います。その上で素材選びはとても重要でした。どんな生地を選ぶかで見た目、動き、扱いやすさ、経年変化が関わってきます。いくつかご用意していただいた麻や綿麻の生地を中心に、これはだんだんこうなっていくなどの話をしながら、変化の強い麻の生地を選びました。
次にかはんらしさをどの部分でどんな風に表現するかについて話し合いました。かはんの制服は正面の部分がタックになっているものと刺し子が施されているものの2種類があり、さらに1着ずつ違う表情をしています。タックには春夏秋冬の四季から、4つの折り目をつけ、刺し子は菓菓の「円雨(つぶらう)」から雨粒が落ちていくイメージを表しました。また、袖にボリュームをもたせることで、一つ一つの仕草がより女性らしく感じられるようになったと思います。後ろはやや生地が重なるようにつくられており、重ねて紐を結ぶことでインナーが隠れるようになっています。
こうして私たちのアイディアは滝口さんの手により、素材そのものが持つ縮みや動きを活かした、やわらかい印象のものへと仕立てられていきました。
お店にTAMPEREの家具が入り、制服を着たスタッフが立ったときに思いました。
“細部に日本らしさを感じるつくり込まれたものであり、経年変化を楽しめるもの”
計らずとも自然の流れでこうなっていったのは、制服や家具に共通して言えることのように思います。
兵庫県神戸市中央区御幸通 4 – 2 – 28